知的障害者施設の設備ポイント

現在の日本社会において、知的障害者は7人に1人の割合でいると言われています。しかし、知的障害者向けの施設は、全国的に見ても非常に少なく、ニーズが高いです。

知的障害者施設を開業するにあたって、高齢者向け介護施設と異なり、基準を順守しながらも、多様性が求められています。
ただし、多様性の中にも、多くの方に有効なポイントもありますので、バリアフリー法も垣間見ながら、お伝えします。

知的障害者施設の多様性とは

知的障害者の方は、個人による差があります。特に行動に関することです。

思いも寄らない行動を起こすことが多いからです。高齢者施設の場合、体力や身体機能が弱くなっているため、動きに制限があり、思いも寄らない行動でも、大きな事故などに繋がることが少ないからです。

一方で、知的障害者施設の場合、年齢的には若い層の方が多くなりますので、体力も力もあります。

壁や扉をたたく、蹴るなどの行動により、建物・扉の破損が生じます。

一回ですむといいのですが、行動が繰り返させることがありますので、修理も一回で終わりません。

Aさんは、壁を蹴る行動を起こす場合があるから、大怪我をしないように、壁の素材を変えるとは、Bさんは、ドアを手荒に動かすため、建具を調整するなど、個人に合わせる必要があるため、施設内でも多様性が求められます。

知的障害者施設の設備ポイント

場所別に考えいきましょう。ご紹介する内容は、バリアフリー法においても、採用すべき、もしくは可能な限り採用しようとされていることを踏まえています。

エントラスから廊下

●明るさと見通しのよさ
●部屋割りなどどこに何があるか表示する
●出入り口(中も外)も通路を分かりやすく

知的障害者の方の多くは、閉鎖的・暗い場所を極度に怖がられ、パニックになることがあります。
採光を含め、明るい空間にすること、明るい空間になることで、奥の部屋までの道がはっきりと認識できるようになります。

エントランスには、案内板・案内表示がされますが、字を大きくすること、字と絵、音声を組み合わせることがポイントです。
案内表示に書かれた字を読めない場合でも、絵で判断することができますし、弱視の方であれば、音声で認識することができます。

グループホームのような小規模施設の場合、案内表示を掲示することは少ないかもしれませんが、自分の部屋とすぐにわかるように、
花の絵などをマークにしたり、マークも目立つ大きさにしておくと、迷うことがなくなります。

表示など大きく、分かりやすくすることが非常に大切なポイントになりますが、通路を方向に分けて色分けすることもおすすめです。
室内だけでなく、出口すぐの場所にも、車の待機スペースなど色や矢印をつけておくことも有効です。

エレベーター

小規模施設の場合、エレベーターが設置されることは少ないと思いますが、大規模施設の場合のポイントをお伝えします。

●ガラス窓の設置
●上下の案内表示を大きく、絵もつける
●一般的な操作盤と極力同じにする

特にガラス窓の設置は、積極的に取り付けるべきと考えます。
外が見えることで、光も入り、閉鎖的な空間感覚を和らげることができますし、場所の認識もしやすくなります。

案内表示に関しては、見やすさ・分かりやすいからですが、操作盤を一般的なタイプと同じ配置にすることで、外の施設でも、操作に困ることが少なり、パニックになりにくいからです。

ベンチスペース

中規模から大規模施設で設置すべきかと思います。
同じことを黙々と続けることが得意な知的障害者の方は、普段と違うことをしようとすると、非常に疲れやすいです。

例えば、渋滞により、車の到着が遅くなった場合、いつもと違うため、同じところで待っていても疲れてきたり、パニックを起こしかけたりします。
あえて、ベンチスペースを設け、待っている間は、座っておくように伝えれば、少し安心ができるようです。

長い廊下においても、途中でベンチスペースを設置しておけば、休憩しながらも進むことができます。

ロビーのような広い場所であれば、ベンチスペースを設けやすいですが、通路であれば、他の方の邪魔になることもありますので、折り畳みタイプのものにすることも有効です。
一点注意してほしいことは、折り畳みの操作は、介助スタッフなど障害者以外の方が行うようにしてください。

お手洗い

男女別に設置する場合は、男性は青・女性は赤と一般的なトイレ表示と同じにします。もちろん男女別のマークも大きく表示します。
便器においても、一般的な規格のタイプを設置します。便器のほか、便器の横壁面に、ペーパーホルダー、便器洗浄ボタン、呼び出しボタンを設ける場合には、JIS S0026に基づく配置とすることが望ましいとされています。

一見複雑になっていないと、思っていても、ここの場所は特別、という感覚になってしまい、知的障害者の方にとっては負担でしかないからです。

曲がり角での案内表示

右方向、左方向、それぞれの方向にあった案内表示をします。一方の方向に、両方の方角の案内表示では混乱を生じます。
右側の壁には右方向の矢印と、部屋などの案内、左側の壁には、左方向の矢印と部屋などの案内にします。

ちょっとしたことですが、障害者の方にとって、分かりやすさは格段と変わります。

個室

必要最低限のもののみ設置します。
室内の電気は、埋め込み式がおすすめです。壊すというリスクと壊れた際の怪我のリスク軽減につながります。

窓も、届かない位置に取り付ける、届く位置にとりつけても、外側に柵をつける、全部が開かないようにするといった配慮も必要です。

プライバシーを守る、自分のことは自分でするのが個室ですが、落ち着く場所となります。

多くのものを取り付けると、注意力が散漫し、落ち着く場所が落ち着かない場所へと変わります。落ち着かないと、蹴ったり、暴れたり、奇声をあげたりと攻撃的な行動を誘発することになります。

施設を利用する他の方の安全も確保しなければなりませんから、落ち着ける場所となるように、明るさも確保しながら、閉鎖的な空間にならないように配慮しましょう。

多様性に対応するために

多様性といっても、個人に合わせる対応といってもいいでしょう。

個室は、個人の特性に合わせて、家具の配置を変えたり、壁材や床材の素材を変えることで、対応できる場合が多いのですが、共有スペースでは、難しいことになります。

知的障害者の方は、人付き合いが非常に苦手としてします。
一緒に暮らすことで、慣れるようにはなると思いますが、時間がかかります。焦ることないように、工夫しなければなりません。

閉じる空間と開けておく空間

何かを作業したりする時も含めて、個人スペースを設けます。
パーテーションを立てることも有効ですし、向かい合わせの机にするのではなく、壁に向かって何かをするような配置することも有効です。

コロナ対応として、パーテーションの設置は、どこの施設でも取り組まれていると思いますが、透明シートではなく、見えないようにすることが好ましいです。

エレベーターのように、閉鎖的な空間を怖がるため、あえてガラス窓を設置することとは意味合いが違います。

あえて閉じるような空間にし、何も見えないようにすることが求められる場所もあることを念頭に入れて欲しいと思います。

可変性空間も設ける

施設内の中で、いわゆる何でも使える空間をつくっておくことがいいでしょう。
避難場所の代わりになるようなつくりでもいいですし、真ん中に壁を設置できるようなつくりでも有効です。

個室が使えなくなった、災害に対応し集合しなけれならないときも考えられるからです。
広いスペースを設け、移動ができる家具を配置することでも対応できますので、工夫次第ではありますが、利用者の特性に合わせていけるようにしましょう。

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