用途変更に対する建築基準法の変更について

平成30年6月27日に国土交通省により建築基準法の一部を改正する法律の概要が交付されたことをかわきりに、地域の安全の確保をするための改修の推進、空き家の活用や地域の安全の確保、老人ホームなどの福祉施設を設立しやすい環境が整ってきました。

大きく4つの部門①建築物・市街地の安全性の確保、②既存建築ストックの活用、③木造建築物の整備の推進、④その他の改正等に分かれています。お互いに関連している部分もあれば、そうでない部分もあり、一見ややこしい感じがしますが、今回は『用途変更』に対してどう改正されたのかをポイントに説明します。

建築基準法が改正された背景

・老朽化した木造建築物が多く、火災で大規模火災にならないように地域の安全性を高めるため
・空き家が増加傾向にあり、空き家を活用したいため
・技術の向上により、木造建築物でも火災に強くなったこと、また、環境保全のため、木造建築を推進するため

以上の3点が、改正された背景です。そして、今回、『用途変更』に対して密接な関係があるのは、空き家です。

空き家について

近年の核家族化により、実家を相続し、住むことが少なくなったこと、高齢者が所有者の場合、老人ホームなどの福祉施設に転居したことで、空き家がこの20年で1.8倍に増加し、2033年には3戸に1戸が空き家になると予想されています。

空き家を何の管理もせず、放置していると、屋根や外壁が剥がれ落ちる、倒壊するおそれがあったり、庭などに草が生い茂り、害虫の発生も考えられ、周囲の環境に悪影響を与える可能性も十分に考えられます。

さて、空き家を活用するための方法として、リノベーションを行い今流行りの古民家飲食店に変更したり、シェアハウスや民泊施設に変更、解体して売却を含めた土地活用をしたりといくつかの方法が考えられます。

しかし、空き家を活用するために、『用途変更』における大規模工事が必要なこと・面倒な手続きが障害となっていました。。

用途変更の難しさ

もともと建築物を設計する際に、「これから建築する建物もは〇〇のために使用します」と申請する必要があります。そして、『用途変更』とは、その建物の使い方を変えることです。

<具体例>
今ある建物を”住居”→”飲食店”もしくは”グループホーム”や”老人ホーム”にすること

そして、以下のような必要な設備を整えるための工事と手続きが必要で、『用途変更』が敬遠されていたのです。

<これまでの用途変更の際に必要だった措置3つ>
・3階以上の階で建築する際に、建物全体を耐火建築物しなければならない
・延べ面積100㎡以上の場合、用途変更の建築確認申請が必要
・空き家は既存不適格建造物に該当することが多く、煩雑な手続きが必要

今回、この3つの障害を緩和する改正がなされたのです。

改正で変更になった点

・延べ面積200m2未満かつ3階建て以下の建物で、建物全体を耐火建築物にする必要がなくなった
・用途変更の確認申請が必要な規模が200㎡超に変わった
・既存不適格建造物を用途変更する場合に、段階的・計画的に現行基準に適合させていくこと

耐火建築物への工事が不要な点について

飲食店への用途変更時、福祉施設への用途変更時に必要な措置についてご紹介します。

●飲食店への変更・・・特段の措置は不要になった
●就寝に使用するための施設・医療や福祉施設への変更・・・自動火災報知設備などの設置、階段の間仕切り壁と防火設備などで区画する階段の安全処置は必要

<注意点>
飲食店・福祉施設であっても、安全設備として非常用照明の設置の必要性は改正前と変わりません。

空き家の『用途変更』における手続きは簡略化されましたが、各建築物に必要な基準(避難するための必要な安全措置)は満たさなければならないことを忘れてはいけませんし、消防への申請も必要です。

確認申請の規模が200㎡超になった点について

確認申請が必要な規模が100㎡超から200㎡以内に変わりました。200㎡超の場合は申請は依然として必要です。

実は100㎡超から200㎡以内の床面積の空き家が、全空き家のうち約6割を占めているのです。この改正により、用途変更がしやすい空き家が増加し、活用を促すようにしたのです。

<注意点>
延べ面積が200㎡以内という点では、一つの建物で200㎡以内でないといけません。例えば、1階部分がすでに飲食店で申請していた場合、改修部分が2階だけで、その2階部分のみが延べ面積の対象ではなく、建物全体の合計で200㎡以内ならば確認申請が不要なのです。
つまり、一つの建物で200㎡以内であることがポイントになります。

既存不適格建造物の用途変更での手続きの緩和について

『用途変更』のための改修工事には、検査済証が必要です。
なお検査済証は、工事が建築確認の図面通りに建物が完成したことを示す確認検査機関や行政機関によって発行される書類のことです。

さて、これまで問題となっているのは、手元に確認済証のみがあり、築年数が古いほど検査済証がないことが非常に多いのです。検査済証がないと、その空き家が、既存不適格建造物(建築基準法が改正されたことで適合していない建物)か、違法建造物なのか分からないため、判別するための手続きが必要ですし、既存不適格建造物の場合であれば、現行の建築基準法に合う改修を一度に行わなければならなかったのです。

そこで改正により、建築基準法に適応させる工事を段階的・計画的に改修することが可能になりました。

<注意点>
既存不適格建造物のみ適応される改正であり、その建物が違法建築物では適応されません。違法建築物とは、建築された時点ですでに、その当時の建築基準法に適していない建物のことです。違法であれば、最悪の場合、改修はできません。

検査証がない場合、既存空き家が既存不適格なのか、違法なのかを証明するため、法適合状況調査が必要です。

福祉施設への転用は専門家に相談を

建築基準法については、建築士に任せなければ前には進めません。建物を建てる際は、建築基準法だけでなく、地域の行政など守られければならないことは非常に多くあります。
その上で、ただ単に福祉施設にするだけでは、周りとの差がつけられません。福祉施設を人が集まる魅力的な場所にするには、コンセプトをもとに福祉施設の設計が求められます。

建物を準備するためのノウハウや建築に関する法律などYA+Aがこれまで設計してきたノウハウをレポートにまとめました。

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専務取締役 横松邦明

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