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木造建築で防音対策を行うにはどうすべき?

幼稚園や保育所の園舎や学校校舎をはじめ、特別養護老人ホームなどの中大規模施設では、木造が推進されています。

耐火建築物や準耐火建築物というように、「火災」に対する規制が、建物を建てる上で、まず考えることです。

しかし、「防音」に対しても、近隣住民への配慮や空間の快適さ・聞こえ方への配慮を欠くことはできません。

そこで、今回は、音に対する規制の紹介、木造建築での「防音」対策の手法を中心に、資材の紹介と使い方についてお伝えします。

 

 

コラムのポイント●建物の音に関する規制内容が分かります。
●「防音」対策には、音の性質に合わせた資材・使い方がポイントです。
●「防音」対策の方法として、学校を新築する場合の推奨されている方法を紹介しています。

 

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音に対する規制

建物から発せられる音に対する規制では、騒音規制法があります。

工場に対する規制が主だっていますが、学校や保育所などにも規制があります。

 

 

規制の対象

・学校教育法第1条に規定する学校
・児童福祉法第7条第1項に規定する保育所
・医療法第1条の5第1項に規定する病院や入院施設のある診療所
・図書館法第2条第1項に規定する図書館
・老人福祉法第5条の3に規定する特別養護老人ホーム
・就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園

 

 

 

規制の地域と時間帯別基準

昼間

(午前8時〜午後6時)

朝・夕 夜間

(午後10〜翌日の午前6時)

第一種低層住居専用地域 50デシベル 45デシベル 40デシベル
第一種中高層住居専用地域

第一種住居地域及び第二種住居地域

55デシベル 50デシベル 45デシベル
近隣商業地域

商業地域及び準工業地域

65デシベル 60デシベル 50デシベル
工業地域 70デシベル 65デシベル 55デシベル

 

出典:騒音規制法の規定による規制する地域の指定及び規制基準

 

 

・50レシベルの騒音レベルとは?
50デシベルは、人が通常の声や家庭用クーラーの駆動音、換気扇が発する音と同レベルです。
50レシベルを超えると人は不快に思う音量ですので、基準としては妥当性があるかと思います。

 

 

騒音となるものはどんな音?

人によって、「騒音」だと感じる音は様々です。

例えば、子どもが園庭で元気に遊んでいる時に発する声を、ほのぼのと感じる方もいれば、まさに「騒音」だと感じる方もいます。

また楽器でも、ピアノのような高低差のある音から、和太鼓のような響きわたる深い音もあります。目の前に奏者がいると、「騒音」だと感じにくいとは思いますが、突然聞こえてくると、ビックリするような大きな音で「騒音」だと感じる場合もあります。

その他、工事の音、草を刈る機械音、トラックをはじめとした車の音もありますね。

 

さて、特に工事の音に関しては、不快に思う方が多く、防音シートで周りを囲み、音が漏れにくいように対策されているのをよく目にするかと思います。

しかしながら、建物が建ち、「騒音」対策として、建物のまわりを防音シートで取り囲んだままで過ごすわけにはいきません。建物そのもので、「防音」できるように対策を行う必要があります。

 

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建物での防音対策

児童養護施設石崎学園 新築工事

建物での防音対策は、壁や天井での対策と開口部での対策と大きく2つに分かれます。

また、壁や天井での対策では、使用する資材と資材の使い方、部屋の密閉性がポイントとなります。

一方で、開口部(窓・ドア)での対策は、窓の仕様の方が重要視されています。

 

 

壁や天井での防音対策

壁や天井で使用する資材は、構造材で使用する木のほか、吸音シートや遮音シートがあります。

「防音」対策を行う際は、0デシベルにすることは不可能ですが、音を吸収する力と音を遮る力の両方で音の反響・外へ音が漏れる・外の音が中に入らないような工夫が必要です。

 

「防音」対策として使用する資材に着目していきましょう。

 

【木の場合】
構造材として使用する「木」も「防音」対策の資材としての観点から考えることができます。

昨今では木をみせる「あらわし設計」でデザイン性が高い建物が増えていますが、注意すべき点は、使用するの木の厚み・密度によって、音の伝わり方が変わることです。

 

一般的な木材の密度は、おおむね1g/㎤以下のため、遮音効果は木材のみでは乏しいです。

だからこそ、「防音」対策を考えるなら、木に厚みと密度(密度が2g/㎤以上)があることが条件です。

 

壁を二重にして、空気層を設けて、その中に吸音材を入れることで高い遮音効果が期待できます。

参考:木づかい.com/木の遮音と吸音

 

 

次に吸音材である【吸音シート】【遮音シート】【防音シート】をご紹介します。

 

 

【吸音シート】
吸音シートとは、跳ね返った音を吸音し、反射する音を抑制するためのシートです。

吸音シートの素材は、主にグラスウールです。 グラスウールは、ガラスの細かい繊維によってできています。

 

 

【遮音シート】
遮音シートとは、音が外に漏れることを防ぐこと、外からの音が室内に入ってこないようにするために使用するシートです。

機能性を考えると、遮音シートのみで効果が期待できるのでは?と思うかもしれまsせんが、「防音」では不十分です。

 

 

【防音シート】
吸音×遮音の両方の機能を併せ持つシートです。
だだし、防音シートだけでは、効果が小さいため、防音シートであっても、他の吸音シートや遮音シートとの併用が推奨されています。

 

 

つまり、木造で「防音」対策をするなら、「吸音シート」×「遮音シート」×仕上げ材で壁を構成する必要があります。

もちろん、防音シートを使っても問題ありませんが、単体で使うことのないようにしてください。

 

 

開口部での防音対策

音は、開口部である窓やドアを通じて、聞こえてきます。 そこで、開口部そのものの防音性を高める必要があります。

 

一つ目の方法は、二重窓化することで、簡単なリフォームでも対応することが可能です。
要は厚みをもたせることで、音がつたわりにくい環境をつくりだします。

 

二つ目の方法は、複層ガラス×アルミサッシです。ガラスそのものが2枚仕立てのものであり、ガラスとガラスの間に空気層があることで、音の伝わりを軽減させることが期待できます。

 

どちらの方法も、「防音」だけではなく、省エネの観点からも推奨されている方法です。
特に学校を設立する際のモデルプランとしても紹介されています。

参考:文科省 学校ゼロエネルギー化に向けて
文科省  CASBEE 学校による評価手法

 

 

まとめ

園舎や学校、特別養護老人ホームなどの中大規模の建築物を建てる際、近隣住民への配慮を欠かすことはできます。

 

各施設の近隣住民の方が、気にされるのは「騒音」です。人によって、「騒音」だと感じるレベルは異なりますが、可能な限り対応しておくことが肝心です。

 

建物のデザイン・設計において、法令の遵守と合わせて考えるのがプロです。だからこそ、建てようとする建物の用途(学校・保育所・医療施設・福祉施設など)での経験豊富なプロに積極的に相談していただきたいと考えます。

 

どんな音に配慮すべきか、またどんな「防音」対策が行われているか、頭の片隅にでも置いておくといいと思います。

 

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