

介護保険サービスは高齢社会を支える大切な社会保障です。
一体どんなサービスなのか、利用者にとっても、介護サービスを提供する側にとっても、把握しておかなければなりません。
今回は、介護サービスとは何か、どんなサービスがあるのか、事業者としてきちんと知っておかなければならない介護報酬とは何かについてお伝えします。
コラムのポイント●介護保険サービスとは、全部で26種類54のサービスがあります。
●介護保険サービスの仕組みを理解することができます。
●介護報酬とは、介護サービスの対価として事業者に対して支払われる報酬のことです。
●介護報酬の仕組み・考え方について説明しています。
Contents
介護保険を利用して受けられる介護サービスのことです。
40歳になると、介護保険に加入し介護保険料を支払う義務が発生し、給与から天引きされます。国民保険の方であれば、納付書や口座振替にて支払います。
介護保険を利用できる人は、満65歳以上の方で、要支援・要介護認定を受けた方もしくは、40歳から64歳の方は特定疾病の方に限られます。
全部で26種類54サービスがあります。
中でも「相談・ケアプラン作成」「訪問系」「施設系」「通所系」「短期宿泊」「訪問・通所・宿泊の組み合わせ」「地域密着型」「福祉用具のレンタル・販売」の9つに大別することができます。
介護保険は、利用者によって、介護給付と予防給付の2つの枠組みで分けられます。
介護給付は、要介護認定を受けた方が利用できる介護サービスであり、一方予防給付は、要支援認定された方が利用することができます。
なお”給付”されるものは、現物給付として介護サービスで給付されますが、利用に際し、1割から3割分の自己負担が求められます。
その介護サービスを全26種類54のサービスから、必要に応じて利用することができます。
介護保険サービスでは、サービスを提供する事業所(施設)を指定し監督する機関があります。
その指定する機関が、都道府県・政令市・中核市の行政です。
特徴としては、大規模施設であること、利用者の居住する地域に縛りがありません。
先ほどの都道府県・政令市・中核市の行政が指定・監督を行うサービスがある一方で、市区町村が指定・監督を行うサービスがあります。
特に国では、地域包括ケアシステムに力を入れており、市区町村が指定・監督を行うサービスが増えています。
「地域密着型」事業所(施設)となっていれば、市町村が指定・監督を行なっていると判断することができ、特徴は、利用者は事業所の地域の住民票がなければいけないこと、事業所は小規模ですが、手厚いサービスを提供することができます。
介護保険サービスでは、介護サービスを提供する事業所(施設)を運営する側にとって、非常に重要となるのが介護報酬です。
事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に対して支払われる報酬のことです。
(引用:厚労省 介護報酬について)
介護報酬は、介護サービスの種類ごとに設定されています。また利用者の要介護の度合いによって1カ月の上限が決まっています。
なお換算方法は、単位計算でされ、1単位=10円としてみなされることが一般的です。
介護保険では、頻繁に改定されるイメージがあると思いますが、実は3年に一度、社会の情勢・現状に合わせて見直しが行われることが決まっています。
最新では、令和3年度に介護報酬の改定がされています。事業者は常に改定に関して、情報を集めておく必要があります。
介護報酬は、国保連合会に請求をしますが、地域ごとにスタッフの賃金には差が生じている関係で、介護報酬においても、地域区分が設けられ、基本の単価に乗じて算定されます。
例えば、東京都の特別区であれば、地域区分が1級地に該当するため、20%を単位に上乗せします。
同じ県内でも自治体によって地域区分が異なっていますので、どの地域区分に該当するのか、各自治体に確認しましょう。
介護サービスの種類ごとに、「70%」「55%」「45%」の3つで人件費の割合が設定されています。
「70%」と定められている介護サービスは、訪問介護/訪問入浴介護/訪問看護/居宅介護支援/定期巡回・随時対応型訪問介護看護/夜間対応型訪問介護です。
「55%」と定められている介護サービスは、訪問リハビリテーション/通所リハビリテーション/認知症対応型通所介護/小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護/短期入所生活介護です。
最後に「45%」と定められている介護サービスは、通所介護/短期入所療養介護/特定施設入居者生活介護/認知症対応型共同生活介護/介護老人福祉施設/介護老人保健施設/介護療養型医療施設/介護医療院/地域密着型特定施設入居者生活介護/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護/地域密着型通所介護です。
介護報酬は、利用者にとって介護サービスの利用料となりますが、その利用料のうち1部は利用者が負担しなければなりません。
多くは1割負担ですが、現役並み所得者は3割負担で請求されます。
つまり、事業者はサービス提供料として利用者と国保連の2ヶ所から支払いが行われます。
介護保険サービスは、要介護・要支援の方の生活を支える大切なものです。
時代の流れとともに、変革が大きく、法令の内容を追いかけるだけでも一苦労かもしれません。
しかし安定した運営を行なっていくためには、何より利用者がいなければ意味がありません。
利用者を集めるためには、事業所の土地選びから空間づくりが左右しますので、ぜひ実績のある設計事務所に開業の相談をしてください。
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