キッズデザイン賞と園舎設計

モンドセレクションやグッドデザイン賞といった製品に対して評価される形が増えています。今、子どもが使う製品に対して、『キッズデザイン賞』という制度もつくられ、毎年、応募者数も増えています。しかし、『キッズデザイン賞』には、”建物”・”空間”も応募対象となっているのはご存知でしょうか。

これまでに、いくつもの保育園が『キッズデザイン賞』を受賞しています。少子化の中で、園児を募集する一つのアピールポイントとしても活用できます。

今回は、『キッズデザイン賞』とは何か、どんなことが評価されるのかを中心にご紹介します。

 

キッズデザイン賞とは

●子どもたちが安全に、そして安心して暮らす

●子どもたちが感性や創造性豊かに育つ

●子どもを産み育てやすい社会をつくる

以上の3つの目的を満たした、すべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度のことです。

 

なお、子どもたちとは、0歳から15歳までの子どものことを指し、「意匠」という意味のデザインだけでなく、「制度」や「取り組み」も『キッズデザイン』の意味に含まれています。

 

軸はキッズデザイン協議会

キッズデザイン協議会とは、子ども・子育て向け製品の開発や分析、研究などを、企業・団体・自治体が横断でサポートするNPO法人であり、2006年に発足した特定非営利活動法人です。

子育ての環境が厳しくなっている昨今の動向を踏まえ、子どもたちへ持続的で明るい未来へとつなぐ活動を根幹にすえ、活動を行っています。

活動の一つに、『キッズデザイン賞』という顕彰制度をつくり、毎年、実施しています。

 

キッズデザインマークの掲示

『キッズデザイン賞』を受賞した製品等は、「キッズデザインマーク」をつけることが認められます。

「キッズデザインマーク」をつけることのメリットは、販売促進活動や広報活動などにおいて、成果を広く社会にアピールすることができます。

日本国内でのみ使用できる「キッズデザインマーク」には、いつ受賞したのか表記される基本マーク(カラー版・モノクロ版)や、受賞部門の説明が入ったマーク(カラー版・モノクロ版)から選択し、規定の使用料を支払わなければなりません。

しかし、2年目以降は無料で継続利用できるため、最初の申し込み時にだけ、使用料を支払うことになります。

園舎であれば、カテゴリーが【建築・空間】に該当しますので、50,000円(税抜)、「キッズデザインマーク」使用料がかかります。

 

受賞後には

上記でお伝えしたように、「キッズデザインマーク」の使用が認めれるほか、表彰状やトロフィーも授与されますので、事務所などに掲示しておくことができ、訪れる人の目に入ります。

また『キッズデザイン賞』の受賞者サイトにも掲載されたり、全国での展示会や各種イベントでも受賞作品として紹介される機会も度々ありますので、より多くの方に注目してもらえます。

つまり、アピールポイントとして大きな武器となります。

 

東京都内ではさらにメリットがある

『キッズデザイン賞』を受賞した場合、他園との差別化を図ることができ、数多くある園の中で、強いアピールをすることが可能です。

また東京都の自治体では、『キッズデザイン賞』の応募にかかる審査料を負担してくれる制度があります。他府県よりも『キッズデザイン賞』に応募しやすい環境が整っていますので、検討されてみるといいでしょう。

 

応募規定を知る

キッズデザイン賞サイトにて、審査のポイントや規定が掲載されていますが、今回は【園舎】の場合に限定しお伝えします。

 

部門別審査ポイント

部門は3つありますが、以下2つの部門のいずれかに【園舎】は該当するでしょう。

◎子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門

子どもの身体・行動特性を考えているか、技術や素材などの優れた応用・活用されているか、事故にならない工夫・もしくは事故が起きたとしても重篤な状況にならないような提案や仕組みが含まれているか、個別の機能・性能を組み合わせるていることで、統合的に品質を高ているかが前提条件であり、プラスして子どもたちの安全・安心への配慮がなされているか、が焦点となります。

 

◎子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門

子どもの創造性、感性、五感を育み、自らが進んで創造的な行為に取り組みたくなるか、社会や人間、あらゆるモノやコトとのコミュニケーションを身につけるための工夫になっているか、発育発達の過程で必要な知覚習得や経験を促しているか、子どもの創造力を喚起・進化させる仕掛け、機能が盛り込まれているか、知識の習得や学びの支援につながっているか、親(大人)と一緒になって共に楽しめるかといった条件もとに、新たな発想・工夫・手法が加わっているのか、が焦点となっています。

 

カテゴリー別ポイント

【園舎】は、建築・空間のカテゴリーに該当します。

機能性/操作性・・・子どもならではの特徴や特性に対応した機能を高いレベルで実現されているか、直感的かつ自然に無理のない行動が促されるデザインかどうか、アクセスの容易性・快適性も取り入れれているか

社会提案性/有用性・・・子どもや子育ての環境、時代を反映した課題・ニーズに対する提案や工夫があるか、地域やコミュニティと建築・空間の関係性が、子どもや子育ての環境の面から考え明確で有益であるか

新規性/創造性・・・子どもや子育てと建築・空間に関わる新たな課題を発見し、その解決策を提示しているか、従来の建築・空間の使われ方に留まらず、利用する人にとってユニークな活用、運用を行なっているか

意匠性/造形性・・・データや実証に基づき、安全性・機能性・快適性などを満たしつつ、美しくかつわかりやすい設計、建築・空間を利用する層や状況に合わせて、子どもにも大人にも使いやすい設計がなされているか、子どもや子育て層にとって、意匠や色彩、動線や間取りの提案の中に読み取れる空間・建築か、子どもが育つ地域の景観や文化、歴史と調和し、新しい魅力を付加されているか

あくまで子ども目線、さらには親や保護者への配慮が求められていることがわかると思います。

 

園舎に求められるものを忘れずに

園舎設計において、『キッズデザイン賞』を優先させて考えていくことはおすすめできません。あくまで、『キッズデザイン賞』に求められていることを踏まえて、考えていくことで、新しい創造へとつなげられるきっかけとなるのではと思います。

何よりも、【園舎】において考えなければならないのは以下の3点です。

●子供たちの安全性の確保

●環境を通じて学べることやものに囲まれているか

●園の方針に見合っているか

安全性は言うまでもありませんが、幼稚園要綱でも提示されているのですが、周りの環境から子どもたちは学び、成長していくため、「環境」の整え方が重要視されています。

例えば、高揚感やモチベーションを与えたり、「もっとやってみたい」「やり続けたい」と思わせるような遊具であったり、本に触れやすいように部屋化するのではなく、フリースペースの一角に図書館スペースを設けたりすることも一つの方法です。

また、園の方針とかけ離れてしまうと、保護者目線からすると、何がしたいのか分からなくなり、選択肢から外れていってしまうため、注意が必要です。

『キッズデザイン賞』で支える園舎を

子どもたちには、「わくわく・ドキドキ」を感じてもらいながら、保護者には、何かよさそうな感じがすると、調べ訪れてもらうきっかけになりますし、実際に、目の当たりにしてもらうことで、園舎が安心であるという証、子どもに寄り添っていることを伝えることができます。

『キッズデザイン賞』はきっかけの一つかもしれませんが、これまでの概念にとらわれず、新たな付加価値をつけて、園舎の設計・新築・改修をプロに相談されてみてはいかがでしょうか。

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