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知的障害者施設の建て具について|施設開業・改築

「知的障害」は、認知症とともに認知度が高まり、ケアを必要とされる方施設が求められているのが現状です。数としては少ない施設であること、また「知的障害」に対する知識不足から、どんな施設がふさわしいのか課題が多くあります。

今回は、「知的障害者」とはどんな症状があるのか、また施設としてどんなことに注意しなければならないのか、主に建て具(内部・外部)の考え方を中心にお伝えします。

知的障害者とは

精神疾患の一つで、知的能力障害または知的発達症と呼ばれています。知的障害と診断される際には、症状別に、軽度・中等度・重度・最重度に分けられます。
ご本人の自立などを目指し、本人だけでなく、家族へのフォローも必要となります。

判断基準を知っておく

知的障害と診断する際の判断基準は、”知的能力の発達の程度”と”適応能力の状態”の2つの部分です。

知的能力は、いわゆるIQ(知的指数)のことで、読み書きや計算を含め、物事に分別をつけられるかどうかで調べられます。一方、適応能力は、集団のルールを守り、他人と関わりながら社会生活を送れるかどうかの能力を指します。
しかしながら、診断の際は、どちらか一方が標準より低い場合でも「知的障害」とは診断されませんし、18歳未満までの発達段階に症状が現れていることも条件です。

大人になってからわかる場合もある

多くの場合、「知的障害」とわかる、診断されるのは子どものときです。ですが、実際に大人になってから「知的障害」だった、とわかる場合もあります。

というのもこれまで「知的障害」としての認知度が低いために診断されなかった場合もありますし、症状が”軽度”のために気づかなかったためと考えられます。”軽度”であれば、個性として考えられたり、周りのサポートがうまくされていた可能性があります。

ではなぜ大人になってからわかるのか。

答えは、別の精神疾患を患ってしまい、病院に行くと「知的障害」があったとわかるからです。

施設におけるケアの考え方

施設を運営していく上で考えなければならないのは、利用者の状態です。上記でお伝えした通り、大人になってから「知的障害」と診断された場合、だいたいのことは自分でできることが多いですが、認知症を併発するリスクも高いと考えられています。

子どもの頃に診断されている場合、ダウン症などとの併発もありますので、自分でできることが多い人から少ない人まで様々な状態であり、生活支援から、介助・介護が必要な場合があると考える必要があります。

知的障害者の施設について

思わぬ行動は当たり前

施設を利用する方の症状が様々でもありますが、扉を蹴る、壁紙をむしる、施設から出ようとするなどの行動がみられます。

施設から出ようとする行動は防ぎやすいのですが、扉を蹴るなどの行為は防ぎにくいものです。そのため、建物の扉や壁など『改修する必要』が何度となくあります。

最初から、施設・建物として完璧はありえないことを念頭におく必要があります。

施設内部の扉における考え方

施設では「引き戸」が採用されることが多いです。「引き戸」にすることを前提にすると、考えられる建て具の素材は、”木製”・”軽量鋼製建具”・”鋼製建具”の3つです。
蹴る・叩くなどの行為により壊れることを想定し、改修費用も踏まえ、”木製”をおすすめします。

扉は木製の引き戸

”木製”の場合、破壊行為があると簡単に穴があいてしまう「もろさ」がありますが、下地に合板を使うことで靭性を高めたり、厚みを加えることで強度も高めることができますし、”軽量鋼製建具”・”鋼製建具”が壊れた場合の改修費用より安価にすませることができるからです。

ただし、”木製”であっても厚みなどを加えることで重量化しますが、なんらかの場合にレールから外れた場合でも職員が戻しやすいように軽量化しておく工夫も必要かと思います。

防火対策場所は鋼製

知的障害者の施設を含め、多くの福祉施設では防火対策が必要です。各自治体の条例にも合わせて対策をしなければならないため、必要な場所には重く頑丈な”鋼製の扉”が採用されます。

扉を支える吊り金物について

”扉”自体の破壊行為対策ができたとしても、次に考えなければならないのは、押したり持ち上げたりする行為もあることです。
”扉”そのものの強度だけでは足りず、吊り金物にも対策が必要です。

吊り金物はあくまで、「引く」行為に対してつくらているものであり、想定外の行為には「もろい」という弱点があります。

だからこそ、吊り金物が外れないように、ステンレス製のカバーで補強したり、戸の下部にガイドレールを付け、床から金物を出して、強度のある振れ止めを行ったり、ガイドバーの箇所を通常1箇所から3箇所に増設して補強したりすることもあります。

補強に関しては、施設の建設時から行うこともできますが、利用者の状態に応じて、個別対応したり、破壊行為があったあとの改修時に行うことも一つの方法です。

指詰め防止のためのソフトクローザー

病院などの「引き戸」では、戸がバンとしまったり空いたりするのを防ぎ、指詰めの防止にもなるため採用されることが多いのです。利用者の怪我防止のためにも積極的に「ソフトクローザー」が採用されます。

職員にとっては「ソフトクローザー」が慣れていたり、すぐに順応できるのですが、「知的障害者」である利用者にとっては、馴染みのないもの、順応しにくい場合があります。

すぐに”開かない”、”閉まらない”ことがストレスに感じたり、自分ができていないと判断し、勢いよく扉を開け閉めしようとし、扉が壊れてしまう場合も実際にあります。

安全のためにも「ソフトクローザー」は有益ですが、人によっては害となることも想定しておきましょう。

窓など外部と接する建て具の考え方

5歳児保育室

施設をつくるにあたり、風通しや採光も考えなければなりません。外部と接する建て具は、外の変化・季節の変化を感じられるものであり、外の暑さや寒さを防いだり、音を遮断する役割があります。

窓ガラスの選び方

大きさや防火対策、どれだけ見通せるかでどんな窓ガラスにするか選定されていきますが、知的障害者の施設では、扉と同じように蹴るなどの行為もふまえ、耐久性や耐衝撃性能も考えていきます。

・普通ガラス
・強化ガラス
・アクリル
・ポリカーボネート

上記の4種類が考えられます。
普通ガラスであれば、破れれば破片で怪我をします。次に強化ガラスであれば、割れにくく、割れても粉々に丸く割れるため破片によって怪我をする可能性が少ないです。
アクリルに関しては、ガラスより割れにくいメリットはありますし、ポリカーボネートであれば、アクリルよりさらに割れにくいメリットがありますが、擦り傷が目立つデメリットもあります。

利用者の特性や使用する場所を考えていずれを採用するか決めるとよいのですが、最初の段階では、強化ガラスかアクリルにしておくのが無難かもしれません。

多くのグループホームでは普通ガラスが採用
破壊が多いことが想定される施設では、アクリルかポリカーボネートが採用されているのが現状

出ていく行為を防止

玄関にも考えられることではありますが、窓から出て行こうとされる場合が想定されます。対策方法としては3つ考えられます。

1つ目は、開けられる幅を制限することです。
開放制限ストッパーというものがあり、10cm程度だけ開けられるようにしている装置です。
「ソフトクローザー」のように開け閉めが思うようにいかない場合、利用者のストレスを抱えたり、さらなる破壊行為にもつながりかねないため、利用者や場所をよく検討する必要があるでしょう。

2つ目は、窓の外部に格子をつけることです。
あまりにも窓全体に格子をつけてしまうと、閉塞感が生まれてしまうため、取り付け方に注意が必要です。
例えば、引き違い窓の片方を固定させ、開く側のみに格子をつけます。すると、閉塞感が低くなり、さらには外部から見ると建物の模様のようになるため、見た目にも有効です。

3つ目は、鍵付きクレセントと脱着クレセントを装着することです。
クレセントとは、サッシの鍵金具のことで、鍵をかけたり、脱着クレセントを外すと窓を開けることができなくなります。認知症の方や小さなお子様がいらっしゃるご家庭でも使用される金具です。

知的障害者施設は改良を重ねていく施設

繰り返しお伝えしていますが、知的障害者の方の思わぬ行動によって施設の一部が破壊させることは少なくありません。施設を建設時から、どんな症状の方が利用されるのかわかりませんし、施設というなれない場所にいることでストレスを感じて破壊行為につながっていくこともあります。

建物をどんな素材にすべきか、安全面を確保するための対策は何かなど、設計士との打ち合わせでも提案がいくつもされるかと思います。
施設の運営開始後に、また改良・改修しなければならないのかと、頭を抱えることもあるかもしれません。難しい課題ではありますが、最初から100%完璧さはないということを念頭において考えていってください。

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