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医療施設におけるユニバーサルデザイン

バリアフリーは障害を持つ人でも使えるという考えのもとに編み出された考え方ですが、これからの時代に求められるのは、バリアフリーよりもユニバーサルデザインです。これから建設される公共施設においても、どんどんユニバーサルデザインが採用されていくでしょう。

医療関係の施設、病院やクリニックなどの開業を目指す方にとって、ぜひ取り入れていくべき点かと思いますので、大きな病院だけではなく、個人病院の開業の場合でもぜひ一読してください。

ユニバーサルデザインとは

『誰でも使いやすい』ことが求められます。

利用者の身体能力・利用者が置かれている状況・利用者の体格・性別・国籍などにかかわらず「使いやすく」「わかりやすい」建築・情報・サービスを創造すること
(米国ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス氏によって提唱/UDの概念)

お手洗いを例にして考えてみましょう。

多目的トイレは、広さが必要とされるのは、車椅子でも利用できるためと考えられます。手すりを設けるのも、支えがあることで転倒を防ぐことも目的としてあります。
今採用される多くの多目的トイレには、ベビーベッドや、着替えようの立ち台、子ども用の便座(便器)も備え付けられているのはご存知でしょうか。

商業施設においてベビーベッドの部屋やキッズトイレなど単体でつくられることが多いのですが、高速道路のSA・駅構内などでは、上記のような多目的トイレが増えています。
ユニバーサルデザインの見本ともいえます。

使用者が、車椅子を使われる方だけはなく、小さな子どもを連れた人にも使えるようになっていますし、着替えを必要とされる方にも使えますから、まさに万人受けのトイレ、ユニバーサルデザインの目指すところなのです。

医療施設で求められるユニバーサルデザインとは

先ほどお伝えした多目的トイレだけではありません。今立っている場所がどんなところなのか、これからどこに向かえばよいのかを、利用者が分かりやすい・利用しやすいようにする必要があります。

利用者個人の状態は様々ですから、視覚・聴覚をメインに考え、各感覚に情報を与えるように組み合わせていきます。

案内表示

大きな画面による情報提供を行います。診察室の前に画面がある医療施設が増えているのも、ユニバーサルデザインに対応してのことでしょう。

診察時には、名前で呼ばれることが大半です。あと何番で呼ばれるのか、どれだけ待たなければならないのかと、診察室の前でうなだれてしまうことが大病院ほどありますが、大きな画面で表示することで、視力の弱い人・聴覚の弱い人にも状態が分かりますし、ただ待っているだけの状態から解放され、気持ちにも少し余裕がでてきます。
番号表示にすることは、業務の効率化することができますし、個人情報を漏らす必要がないため、利用者にとっても安心性が高まります。

ピクトグラムの使い方

非常口などの表示の横にあるような、絵文字/人文字、言葉を使わなくても情報を伝えられる視覚記号のことをピクトグラムといいます。

案内表示の一つとしても使われるのですが、その表示の仕方についても特徴があるため、別枠で説明しています。

ピクトグラムにおいて、大切なのは誰が見ても、それと判断できることです。
2・3年前に東京オリンピック開催に向けまちづくりが行われているときに、ピクトグラムで日本人と外国人の見え方が違うと、少し問題になったことがありました。
医療施設では、使うピクトグラムが限られているとはいえ、誰が見ても直感的に判断できなくてはなりません。

求められるのは、色彩の豊かさではなく、大きさやデザインそのものです。

音も組み合わせる

利用者は視覚が弱い方もいらっしゃいます。文字や絵の代わりとなるのが音です。
ここがお手洗いです、ここがエレベーターです、など音声案内があることで、利便性が高まります。大きな病院ほど、多言語音声にするのがおすすめです。
施設によっては、病院のエントランスや女性用・男性用お手洗い別にメロディを加える取り組みもされています。

照明の使い方

照明は、その空間の明るさを保つだけではありません。あえて曲線に配線したり、交差点部分では、広い空間であることを示すために他の空間とは異なる照明にしたり、通路の役割も果たすような使い方もあります。

床材の使い方

廊下と階段の区別がしやすいように色の濃淡で分かりやすくしたり、クッション性の高い床材、滑りにくい床材を適材適所に使うことで、転倒防止や、転倒による怪我を少なくする効果があります。

高さの配慮する

エレベーターのボタン位置で、車椅子利用者用があるように、受付、記入台、扉の手すり位置、自動詞販売機まで、低い高さのものを採用しましょう。
車椅子利用者だけではなく、子どもも自分で使うことができます。

病院・病室のカラー

病院・病室のカラーのといえば「白」ですが、近年「白」ではなく、木目を入れたりすることで、センスを感じさせるような外観が採用されることが増えています。
イメージカラーを変えることで、誰でも行きやすい環境を整えることにも向いています。
その場所にいたいと思う心地よい空間づくりは、ユニバーサルデザインが目指すところです。

病室の表記

従来の病室では、出入り口に小さく病室番号と患者さんの名前が表記されていますが、ユニバーサルデザイン化により、病室番号を大きく表示したり、病室番号ではなく、旅館のように一部屋一部屋に名前をつけて、出入り口の印象をカラーリングで変更したり、より分かりやすい表記が採用されています。

ユニバーサルデザインは、使う人を限定させないためのデザイン、つくりであり、その汎用性は表記方法など様々な形で反映されています。

社会貢献で日本をより快適な社会へ

日本では、『ユニバーサルデザイン2020行動計画』という指針が政府により示されています。
あらゆる人との共生社会を実現させるための計画であり、「まちづくり」と「心のバリアフリー」という2つの軸がありますが、ユニバーサルデザインはその両方の一旦を担っています。

「まちづくり」は主に施設での快適性を高めることであり、「心のバリアフリー」とは様々な心身の特性や考え方を持つあらゆる人が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支えあうことを意味しています。

医療施設という、あらゆる人が利用する場所で、ユニバーサルデザインを積極的に採用することは「まちづくり」における施設の快適性を高めることに通じていますし、コミュニケーションし、支えあう環境づくり「心のバリアフリー」を自ずと実践している場所です。

ユニバーサルデザインの採用を

限りある予算の中で、ユニバーサルデザインを様々な箇所に採用していくのは難しいかもしれませんが、ユニバーサルデザインの施設にすることで、あの病院は分かりやすくていいなど口コミでも広まりますので、宣伝効果も期待できるのはないでしょうか。

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