障害や疾患がある方の就労を支援するための施設、『就労支援施設』は、就職し働き続けていく過程を支援する施設のことです。一言で『就労支援施設』と言い表しても、利用者の段階に合わせるため、いくつかの施設にさらに細分化されます。一般的に認知度のあるハローワークも『就労支援施設』の一つです。
さて今回は、障害者のための『就労支援施設』に目を向け、A型B型の違い、開業に向けた準備内容などをお伝えします。
障害者自立支援法から考える
障害者自立支援法は厚生労働省が管理する法令の一つで、障害者の障害者の症状別に分かれていた福祉サービス福祉の一元化、障害者が「働ける社会」、一般就労を目的とした事業の創設、その他施設の開所がしやしすいように規制緩和がされるなどの概要が組み込まれた法です。
取り組みの一つである就労支援
障害者が「働ける社会」にするため、以前は企業側にばかり努力を強いてきましたが、周囲の理解不足など障害者にとっては「働ける社会」には程遠い現実がありました。
いかに「働ける社会」するのか、企業側に努力を求めるだけでなく、福祉の側からも支援することになり、『就労支援』事業、施設の創設へと向かうことになったのです。
就労支援施設の役割とは
福祉の側から、障害者が一般企業で「働ける」ようにサポートするのが『就労支援施設』の役割です。
『就労支援施設』の創設により、実際に一般企業への就労という目標を達成できている事実もありますので、実に実りある「施設」と言えます。
さて、『就労支援施設』には、A型とB型があり、それぞれの違いについてお伝えします。
就労継続支援A型
利用者は、65歳未満で障害がある方です。障害がある方でも一般企業への就労が困難であり”就労が可能である”方と限定されています。
利用者定員は10名です。
事業所と利用者が雇用契約を結び、生産活動の機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練を行います。
雇用契約を結ぶため、利用者は給料が支給されますが、主な仕事は内職に近い内容ですが、赤字が多いため、平成29年以降、開業に対しハードルが上がっているのが現状です。
経営者は、雇用・労災・健康保険などの各種保険の整備が必要であり、提供(紹介)する仕事が、収益性があり、継続的かつ安定的に仕事がある事業でなければなりません。
現在、人手不足が多い製造業やサービス業から業務委託される形態での事業所が望ましいとされています。
なお一般企業に就労後も6ヶ月は就業生活での相談など支援の継続は引き続き行わなければならないと定められています。
就労継続支援B型
A型と同じく65歳未満で障害のある方が利用者ですが、A型では”就労が可能である”方に対し、B型は、”雇用契約に基づく就労も困難である”方が対象です。
利用者定員は20名です。施設数および利用者は、現状ではA型よりも多いです。
就労の機会の提供や、生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練と、その他の必要な支援を行います。
言葉だけを比較すると、支援内容が同じなのでは?と思われるかもしれませんが、大きな違いは『雇用関係』の有無です。
経営者側からすると、雇用契約を結びませんので、保険の整備は不要ですが、工賃として利用者に支払う必要があることは念頭に入れておいてください。
またA型と同様に、就職した日から6ヶ月は就業生活の相談などの支援を行わなければなりません。
就労支援施設を開業するには
施設の利用希望者は年々増加傾向にあり、施設の数も比例するように増えています。だからといって施設が足りていないのも現状ですので、社会貢献度もありますし、施設を開所しても決してマイナスにはならないでしょう。
さていざ開業をすると決めても何をどう準備すればよいか、施設の建物や必要な人員についてご紹介します。
まず経営者が法人格であることからスタートします。もし法人格ではないなら、まず法人格にすることから始めてください。
建物と必要な人員については同時並行で準備されていけばよいでしょう。
人員(スタッフ)基準について
就労支援施設ですので、社会福祉施設に多い、介護士などのスタッフ基準はありません。ただし以下のスタッフは必須です。
A型 | B型 | |
管理者 | 1名以上 | 1名以上 |
サービス責任者 | 1名以上(60人以下に対し) | 1名以上 |
生活支援員および職業指導員 | 10名に対し1名(常勤1名以上) | 10名に対し1名(常勤1名以上) |
なおサービス責任者は、実務経験と相談支援従事者初任者研修およびサービス管理責任者研修を修了している方に限られています。
また実務経験の要件に関しては自治体により異なる場合がありますので、開業する地域の自治体に確認は積極的に行うべきです。
経営側からすると、サービス責任者を採用することが一番難関かもしれません。
建物(設備)基準について
A型B型に差異はなく、建物全体に対する考え方は以下の通りです。
・建築基準法や消防法を遵守していること
・出入口以外に非難できる構造が望ましい
・建物が2階建以上の場合、エレベータ等の設備や、避難経路を複数箇所必要
・出入り口や通路にスロープや手すり等バリアフリー対応
必要な部屋は、
・訓練・作業室・・・訓練や作業に支障がない広さ(自治体により一人当たりの床面積が定められている場合があります)
・相談室・・・プライバシーや話の内容が漏れない間仕切りなどがあれば、多目的室との併用が可能
・洗面所、便所・・・利用者が使いやすい設計(手すりの設置など)
・多目的室・・・相談室との兼用可能
・事務室
ただし、A型とB型では10名と20名で定員が異なりますので、一人当たりの面積が定められている自治体が多いことも踏まえると、B型の事業所の方が大きい施設となります。
ビジネスとしての見込み
これまでに社会福祉施設の開業の経験者、福祉関係の事業拡大で『就労支援施設』の開業を目指されている場合、すでに信用をえており、地域のネットワークなどもお持ちかと思います。
この場合は、開業当初から利用者の確保という点で厳しいことはないと思いますが、『就労支援』の内容、業務委託内容の検討を重々に行いましょう。
一方まったくの新規参入の場合、利用者の確保から始める必要があります。信用度、認知度を広げることからスタートし、中長期的な視点をもつことが大切でしょう。

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