社会福祉施設に求められる設備について

現在の日本では、老人ホームやこども園などの社会福祉施設が求められています。これまでは、比較的大きな施設が主流でしたが、今後は小規模化された施設のニーズが高まっており、既存建物の改修・改築による老人ホームやこども園などの特殊建築物が建てられることが予想されますが、いざ建築しようとすると様々な法律に遵守しなければならないことに圧倒されることでしょう。

今回は、どの福祉施設が何の法に該当し、遵守しなければならないのかを明確にした上で、建築基準法で定められたその建物に必要な設備をご紹介します。

社会福祉施設に該当する施設とは

社会生活の中で、様々なサービスを必要とする人を援護・育成を目的とした施設を指します。以下の5つに分類され、それぞれ適用される法律が異なります。

老人福祉施設、障害者支援施設、保護施設、婦人保護施設、児童福祉施設、その他の施設に大別されます。

各施設の開所を考えている場合、まずどの法律が該当するのか把握する必要があります。

分類 法律 施設例
老人福祉施設 老人福祉法 老人デイサービスセンター,老人短期入所施設,養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホーム,
老人福祉センター及び老人介護支援センターなど
障害者支援施設 身体障害者福祉法 身体障害者福祉センター
保護施設 生活保護法 救護施設,更生施設,医療保護施設,授産施設,宿所提供施設
婦人保護施設 売春防止法 被害者を保護する施設
児童福祉施設 児童福祉法 保育所,幼保連携型認定こども園,児童厚生施設,
児童養護施設など

婦人保護施設は、基本的に普通の生活をすることができ、利用者の名前など各個人が特定されなければいいので、特殊な設備は必要ありません。他の施設には、身体的な障害がある方が多いため、快適に施設を利用できるように建築基準法でいくつか定められていることがあります。

建築基準法における福祉施設の必要設備

利用者の安全を守ることを第一に考えられ、以下の焦点をベースに各施設の基準が定められています。

・部屋の広さ(定員)
・建築物の採光について
・防火設備(耐火・準耐火構造を含む)について
・廊下の幅 など

注意しなければならないのは、同じ福祉施設として区分されるにもかかわらず、建築基準法では「用途」別に区切られ、決められた基準が異なることに注意が必要です。ではまず、上記にご紹介した焦点についてみてみましょう。

部屋の広さ(定員)

各施設には広さに合わせて定員数が決まってきます。子ども対象の施設・高齢者対象の施設と2つに分けて比べてみます。

保育所・幼稚園・こども園の場合
保育所とこども園は「保育」を目的としているため同じ基準ですが、幼稚園は「教育」を目的としており、設備として必要な広さは、建物に依存するのか、人数を元に考えるのか、と考え方が異なります。

保育所 幼稚園 こども園
【必要な部屋】
保育室・遊戯室
乳児室やほふく室が必要
【広さに合わせた定員】
保育室や遊戯室=1.98㎡以上/1人
ほふく室=3.3㎡以上/1人
【人数】
1学級:35人以下
【園舎の面積は学級数による】
1学級=180㎡
2学級=320㎡
3学級以上=1学級につき100㎡
【必要な部屋】
保育室・遊戯室
乳児室やほふく室が必要
【広さに合わせた定員】
保育室や遊戯室=1.98㎡以上/1人
ほふく室=3.3㎡以上/1人

次に高齢者対象の施設で比較してみます。

有料老人ホーム・養護老人ホーム・認知症高齢者グルーブホームの場合

有料老人ホーム 養護老人ホーム 認知症高齢者グループホーム
【原則個室】
床面積:13㎡以上/1人
【原則個室】
床面積: 10.65㎡ 以上/1人
【1人一部屋/必要に応じて2人も可能】
居室の床面積 :7.43㎡以上
注意すべき建築用途

建築基準法では、建物を建築する際、その建物をどんな用途で使用するのか、行政に申請しなければなりません。上記でご紹介している「子ども対象の施設」「高齢者対象の施設」でも『用途』がポイントになります。「高齢者対象の施設」では多くのタイプがあるため、参考までに他の施設もご紹介します。

施設名 建築基準法における用途
子ども対象の施設 保育所 保育所その他これに類するもの
(児童福祉法による保育所)
幼稚園 幼稚園(学校教育法第1条施設)
こども園 幼保連携認定こども園
(幼稚園と保育所の両方の規制が適用)
高齢者対象の施設 有料老人ホーム 高齢者,障害者等の就寝の用に供する児童福祉施設等
養護老人ホーム 高齢者,障害者等の就寝の用に供する児童福祉施設等
認知症高齢者グループホーム 寄宿舎
サービス付き高齢者向け住宅 共同住宅,寄宿舎又は高齢者,
障害者等の就寝の用に供する児童福祉施設等
老人デイサービスセンター (宿泊サービスを提供する場合)
高齢者,障害者等の就寝の用に供する児童福祉施設等

「高齢者対象の施設」の場合、3つのタイプに別れることが明確になりました。つまり、建築の確認申請ではいずれの用途に該当するのか、重要になります。

建築物の採光について

ご紹介している社会福祉施設全て同じです。必ず、採光のための窓もしくは、その他の開口部(扉)を設けなければなりません。

居室の床面積に対して、5分の1から10分の1までの範囲で、各自治体の政令で定める割合以上
ただし、地階の場合、居室や温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室の場合は、上記に該当しません。

防火設備(耐火・準耐火構造を含む)について

火災時の対処として人の安全を守るだけではなく、建物の被害を最小限に抑えるために細かく定められています。また、建てようとする地域の条例(防火地域・準防火地域など)によっても制限が加わります。

・耐火性能の確保
・防火上主要な間仕切壁を準耐火構造とし小屋裏又は天井裏まで到達すること
・排煙設備の設置
・非常用照明装置の設置
・階段の寸法(幅・蹴上・踏面)
・手すりの設置、主たる階段における回り階段の禁止
・階段・エレベーター・吹き抜け部分等、竪穴部分の防火区画
・廊下の幅

防火に関する設備だけでも膨大です。細かくご紹介しているとややこしくなりますので、今回は、廊下の幅についてご紹介します。

小学校 2.3m(中廊下) :1.8m(片廊下)
老人ホーム <介護付き> 2.7m(中廊下) :1.8m(片廊下)
<住宅型>
身体が不自由な者(車いす利用者)の通行の妨げにならない幅
特別養護老人ホーム <一般型> 2.7m(中廊下) :1.8m(片廊下)
<地域密着型> 1.8m(中廊下) :1.5m(片廊下)
サービス付き高齢者向け住宅 78cm(柱の存する部分は75cm)以上
認知症高齢者グループホーム・保育所・こども園
老人デイサービスセンター
 詳細規定なし

必要設備は複雑

これまでにいくつかの設備についてご紹介しましたが、ほんの一部にすぎません。要は、初心者にとって、高いハードルであることは間違いないのです。建物を建てることは、建築基準法に従うだけではなく、児童福祉法しかり、老人福祉法しかり、バリアフリー法・消防法・各地域の条例など多くの法律が絡んできますので、依頼する建築事務所の”実績”が左右することは言うまでもありません。

社会福祉施設のニーズは高い

現在の日本は、高齢・少子化社会に伴い、社会福祉施設の需要が高まっています。社会福祉施設の開設は、社会的な貢献度も高いですし、ビジネスとしても大いなるチャンスと言えます。

ニーズは十分にありますが、今後の傾向として、大規模施設よりも小規模施設のニーズがあること、地域により求められる施設は異なりますので、十分なリサーチの上で検討していかなければなりません。

そして、利用者が『ここを利用したい』と思える施設でないとせっかく建てた施設が意味のないものになってしまいます。また社会福祉施設は、利用者もいますが、その利用者をケアする人もいますので、ケア側の人の利便性も考えなければならないことを忘れないようにしましょう。

 

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