特殊建築物との違いは

増改築、用途変更に係る建築基準法について

空き家を老人ホームなどの福祉施設に変更する場合、福祉施設法で定められた個室の広さ、廊下の広さなど基準を満たすために、増改築が求められることが多いです。

福祉施設に変更する(用途変更する)場合、各自治体の建築指導課に、「確認申請」という手続きを行わなければなりませんが、”建築確認申請許可書”と”検査済証”の提出が必要です。

多くの場合、この”検査済証”がなく、確認申請もできない、増改築もできない事態となり手詰まりになっていました。そこで政府は、合理化を図るため、平成30年6月、建築基準法が一部改正しました。今回は、改正に伴い、どう変化したのか、”検査済証”がない場合、どう大変なのか、対処法も合わせてご紹介します。

 

検査済証とは

建築基準法で定められた『建築確認・中間検査・完了検査』の3つの検査がすべて完了し、その建物が法律の基準に適していると認められたときに交付される書類のことです。増改築が行われた場合にも新しく交付されます。

検査済証がある家=建築基準法に遵守した家ということ
検査済証がない家=建築基準法に遵守しているのか不明

検査済証があれば、増改築・用途変更を行う際に、手続き上スムーズに行うことができ、工事に着手できます。

既存不適格か違法か

検査済証がない場合、その建物が既存不適格建築物なのか、違法建築物なのかが大きなポイントとなります。

建築基準法は、時代の流れと共に、一部、改正が行われていますよね。建築された当初は、その当時の基準法に適していたにも関わらず、条例の改正が行われ、基準に適さなくなってしまった場合の建物が『既存不適格建築物』とみなされます。

しかし建築された当初から、建築基準法に適していない建物、もしくは増改築時に建築基準法に適さない状態で建てられた建物が『違法建築物』に該当します。『違法建築物』であれば、増改築・用途変更を行いたい場合でも、何もできなくなります。

既存不適格建築物か違法建築物かを調べる方法

検査済証があれば、多くの建物は、既存不適格建築物と考えられます。しかし、検査済証がないため、調査が必要なのです。
まずは、所有する書類から検査済証の代用になるものがないか確認します。

・建築計画概要書など
・建築確認台帳記載事項証明書
上記2点が見つかれば、検査を受けていることがわかります。

書類が見つからなければ、以下の専門家に相談し、法適合状況調査をしてもらいます。

・管轄の行政(役所の建築指導課)
・特定行政庁(建築主事がいる地方公共団体の行政機関)や指定確認検査機関(例:一般財団法人日本建築センター)

調査ののち、既存不適格調書を作成してもらいます。

指定確認検査機関とは、建築基準法に基づいて、建築確認や検査を行う機関として国土交通大臣や各都道府県知事から指定された民間機関を指します。

なお、法適合状況調査は、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に従い行われます。

もう一つ、法適合状況調査を行わず、一定の調査(図面による調査と現地による調査)で建築士が必要な図書を作成してもらった上で、指定確認検査機関相談・確認申請する方法もあります。

改正に伴う変化

平成30年6月に建築基準法が一部改正された目的の一つに、確認申請の手続きの合理化が行われました。

用途変更する既存建物の延べ床面積が200㎡以下の場合、確認申請が不要

改正前は、確認申請が不要な場合は、延べ床面積が100㎡以下の場合となっており、ほぼ全空き家の用途変更時には確認申請の手続きが必須となっていました。
しかし、現在の空き家の約6割が100㎡以上200㎡の建物であることが多いため、確認申請が不要な延べ床面積を広げることで、手続きが簡略化できる建物を増やすことができ、福祉施設の増設などに空き家を利用することを推進しています。

あくまで手続きの簡略化のためであり、人の安全を守らなければいけませんから、福祉施設や飲食店など必要な設備は整えなければいけませんし、消防への申請も必要なことを忘れてはいけません。

・既存不適格建物の増改築する場合、現行の基準法の条件を満たす工事を段階的に行える

改正前は、現行の建築基準法に適するための工事を増改築の工事と一緒に行わなければならず、大きな工事となり、工期が長くなってしまったり、費用がかさんでしまったり、空き家を使うことを難しくしていました。

改正後は、増改築の場合のみ、全体的な計画のもとに、段階的に工事を行ってもよくなり、工期・費用の面で軽減され、その建物の利用できる部分は利用できるようになったのです。

用途変更時の注意点

用途変更後、どんな施設にするのかによって、守らなければならない法律が変わることをに注意が必要です。

大きく関係する法は、消防法、食品衛生法、各自治体のまちづくり条例、バリアフリー法、老人福祉法、耐震改修促進法などの遵守も必要なのです。非常に複雑な知識が必要ですので、プロに相談しましょう。

求められる福祉施設

日本は、超高齢化社会となり、福祉施設のニーズは高まっています。また、既存する建物(空き家・空きビル・空き小学校など)を活用した施設への転用も求められています。

特に空き家は、外観を戸建の状態を維持することで、高齢者がこれまでの生活と変わりがないような雰囲気のもとで暮らしていけるメリットがあり、利用者が利用しやすい環境がつくれますし、地域に根付いた見守り環境も合わせてつくっていくことが可能になります。

既存の建物を生かした設計をすることで、大きな工事を減らすことができますし、慣れ親しんだ雰囲気を壊すことも少なくなるでしょう。

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