老人ホーム等の容積率規制の合理化について

高齢社会である日本は、老人ホームのニーズは健在です。老人ホームを建てる際には、建築基準法に沿って設計・建築されなければいけませんが、2018年(平成30年)9月25日から施行された老人ホームの建築基準法の改正点を中心にお伝えします。
事業者として、見込みのあるビジネスです。どんどん、老人ホームの建設が増えていくでしょう。

建築基準法を改正した経緯

・日本の高齢化が年々すすんでいること
・老人ホームのニーズが高まっていること
・都心などの密集地でも老人ホームを設立するため(コンパクトシティ化のため)
・もともとある建築物を有効活用するため(例:共同住宅から老人ホームに用途変更できる)

上記4点が改正されるに至った理由です。都市部は特に敷地面積が限られていますから、受け入れられる人数にも限界がありました。
また、老人福祉法に基づくと、地下スペースに居間や寝室といった居住スペースとして活用することはできませんので、注意が必要です。

規制緩和により、地下スペースは物置などのスペースとして活用し、地上で使っていた物置スペースを居住スペースに変更することが可能になり、さらに受け入れ人数を増やせるようになったのです。

改正したポイント

では、どの点が改正されたのか詳しく見てみましょう。以下2点が改正された内容です。

・建物の容積率を算出する場合、地下室の床面積を含めない
・エレベーターの昇降路部分の床面積を算出の際に計上しない

本来、老人ホームは、各都道府県・地域ごとに定められた「容積率」があり、その「容積率」を超えてはなりません。

容積率=延べ面積の敷地面積に対する割合のことを指す

改正したポイントごとに、改正前とどう変わったのか、国交省の改正内容周知の資料を元にご紹介します。

地下室の床面積について

(旧)建築基準法では、地下室分を含め、定められた「容積率」を超えてはいけなかったため、地下室を作ってしまうと、地上部分の面積が取れなく部屋数など少なくなってしまっていたのですが、(改)建築基準法では、地下室が床面積の3分の1を限度に容積率の計上の際に、含めず算出できるようになります。つまり、地下室に部屋を作っても、地上の部屋を減らす必要がなくなったのです。

例えば、敷地面積1,000㎡で、容積率の上限が200%とすると、

(旧)建物の床面積は、2,000㎡が上限   ー> (改)地下室分1,000㎡を含めた合計3,000㎡が上限

プラス1,000㎡分のスペースが活用できるようになります。

エレベーターの昇降路部分の床面積について

(旧)建築基準法では、エレベーターの昇降路部分(シャフト部分)をかごの停止する階の床面積として、容積率の計算で算入していましたが、(改)建築基準法では、すべての階において昇降路部分を算入しないことになりました。

ただし、あくまでエレベーターのみが対象となり、エスカレーターや小荷物専用昇降機はこれまで通り容積率の中に計上します。

改正の結果、

エレベーターが停止する階の分だけ、その階の居住スペースとして増やすことが可能になりましました。

容積率の制限と算出方法

容積率は、その地域(道路・公園・下水道といった公共施設とのバランス)の建築物の規模を規制するために、『容積率』で建築密度を調整するために必要な計算です。その算出方法を例をあげてご説明します。

例)敷地面積5,000㎡とし、1階部分1,000㎡・2階部分1,000㎡・3階部分1,000㎡とします。

延べ面積(各階の床面積の合計)は、1階 + 2階 + 3階 = 3,000㎡
延べ面積 3,000㎡ ÷ 敷地面積 5,000㎡ = 60% (容積率)

と上記のような計算方法になります。また、容積率の上限は、地域ごとにより異なりますので、建築士・行政との確認をしましょう。

改正はコンパクトシティ化に向けた緩和計画の一つ

高齢者の増加、介護ニーズを受けて、高齢者向けサービスの充実が不可欠となっています。
そこで政府は、地域を特定し、まちづくりの一環として、『都市機能誘導区域』を決め、老人ホームやデイサービスセンターなどの通所施設を「誘導施設」として認めるために必要な措置として打ち出したのです。

この改正により、これまで共同住宅としてして使っていた建物を”老人ホーム”にしたり、100人から200人規模の老人ホームしか建設できなかったのですが、30人から50人規模の老人ホームが建てられるようになりました。また、50人規模から55人規模へと受け入れ人数を増やせるようになり、ニーズに応えられる力が増しています。

独自性のあるデザインで人を集めましょう

高齢化社会の波は止まることがないでしょう。2040年には高齢者の数が倍以上になる地域も予想されていますので、老人ホームのニーズも同様に増えていくことが予想されます。

老人ホームは事業者として、ビジネスチャンスでもあります。

しかし、せっかくつくる老人ホームも「空き」があっては、経営が成り立たなくなります。老人ホームに居住を考えている人にとって、サービス内容も大事なポイントですが、建物は第一印象を左右するものです。
これから、生活する場所ですから、いかに”快適に過ごせる空間なのか”が選択の基準なのです。その選択をしてもらうために、デザインで”快適さ”をアピールしてみませんか。

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