精神障害者用グループホーム

特別養護老人ホームの安全対策・スタッフ動線について

高齢化に伴い、年々需要が増えてきている特別養護老人ホーム。利用者の方々が過ごしやすい空間であることはもちろん、経営者としては常に需要があり、入居したい人がたくさん訪れる施設であってほしいのではないでしょうか。
人気が高く、快適に過ごすことができる特別養護老人ホームは、安全対策がしっかりとなされており、働くスタッフの動線もきちんと整えられています。

今回は、特別養護老人ホームを建てる前に知っておきたい、安全対策やスタッフ動線を考えた施設の建築について、ご紹介します。


コラムのポイント
・特別養護老人ホームとは生活全般における介護を行う施設です。『終の棲家』として求められる設備や機能を、建築段階から反映させる必要があります。
・介護事故を防ぐため、高齢者の方々にとっては大きな障害となるような段差や角は設計段階からなくしておきましょう。
・スタッフ動線も考えた上で施設の設計をすることで、安全性が高く質の高い介護サービスを提供できる特別養護老人ホームになります。


 

 

 

 

特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームとは、要介護者に対して、入浴や排泄、食事、介護、日常生活の世話を行うだけでなく、機能訓練や健康管理など生活全般における介護を行う施設のことです。

新規の入所者は、原則要介護3以上の高齢者に限定されており、在宅で生活することが困難な要介護者を支える施設とされています。
入所者の方は、
・認知症の方が9割以上
・平均要介護度は3.85
というように、重度化が進んでいます。そのため、死亡退所も多いのが現実です。

前回の介護報酬改定では、医療ニーズが高い入所者への対応とともに、介護福祉施設サービスでの看取り介護の質を向上させるため、『看取り』介護サービスの加算も大きく広げられました。日常生活での安全管理はもとより、看取り体制を一層強化していくため、夜間や緊急時の看護体制、医療提供の在り方について検討が求められています。

 

特別養護老人ホームの安全対策

特別養護老人ホームには、『終の棲家』として求められる設備や機能を、建築段階から反映させる必要があります。

予見可能性と対策の適切性

認知症の方、要介護度の高い方を相手にする以上、介護事故の時発生をなくすのは極めて困難です。しかし、予想されるリスクに備えることは可能です。
事故を起こさないように発生防止に努めるだけでなく、もし事故が起きたとしても被害を最小化する対策をしておきましょう。被害が最小化されることで、利用者の大きな怪我に繋がることなく、安心して施設での日常を過ごすことができます。
施設側としてできることは、あらかじめ予想されるリスクについて予見し、必要な対策を講じることです。

多くの事故原因は転倒や転落

高齢者が過ごす施設で起こる事故の中で、最も多いのが転倒や転落です。骨折した、打撲してしまった、という原因のほとんどを占めます。要介護度が高いということは、それだけ自分の意思で動くことができません。どうにかして動こうとして、介助中に、といった理由で事故が起こることは珍しくありません。

 

介護事故を防ぐには…

私たちにとっては何でもないような段差や、壁や棚などの角でも、高齢者の方々にとっては大きな障害となります。これは、施設をつくる段階ですべて保護するなり隠すなりする必要があります。ちょっとした心配りで、入所者の方が過ごしやすく、かつ安全面にも配慮した施設となります。
もし、転んだりつまずいたりしても大きな事故になることを防ぐことができます。

安全対策としてあらかじめできること

施設の建築を始める前に、事故を予防するためには、あらかじめ施設についての情報収集をしておきましょう。

介護現場で実際に働いている人は、『ヒヤリハット』という状況を多く経験しています。ヒヤリハットとは、突然の出来事やミスに『ヒヤリ』としたり『ハッ』としたりするような、大きな事故に直結する一歩手前の出来事のことです。
実際に入所者を介してみないとわからない、と思うかもしれませんが、施設や設備によってヒヤリハットという状況が起こることは皆無ではありません。どのような施設や設備の状態の時に、ヒヤリハットとなる状況が起こるのか、どうなっていれば防ぐことができたのか、などあらかじめ把握しておきましょう。

重度の要介護者が過ごす施設として、安全対策面で特別養護老人ホームは機能性の高さを備えておく責任があります。現場の声も参考にしながら、ハード面を整えていきましょう。

特別養護老人ホームで介護事故が発生しないように、予防をしっかりしておくことは重要ですが、万が一事故が起きてしまった場合、原因を明らかにして介護サービスの改善や質の向上につなげることが大切です。また、同時に入所者の方やご家族の方にも説明し、理解をしていただくことが大切です。
施設側が再発防止のためにどのような努力をしているか、事実にしっかりと向き合って冷静に事故を分析し、その後のサービスの質向上につなげられるか、については現場でできる改善策であり、施設の信用問題にも関わってきます。

特別養護老人ホームの事故予防に関する取り組みは、施設全体で取り組み、報・連・相の仕組みづくりだけでなく、職員の教育、労務管理、人事考課や評価にもしっかりと取り入れましょう。働く上で常に組織づくりについて意識しておくことが大切です。組織全体で、意識するというバランスが取れていることで、リスクマネジメントにつながるだけでなく、質の高いサービスの提供にもつながります。
安全性の高い施設が出来上がったら、ソフト面でも安全対策をしていきましょう。

 

安全対策もなされたスタッフ動線

特別養護老人ホームで働くスタッフは、一つの施設の中でですが想像以上の距離を動きながら働いています。この建物の中を人が通ると思われる経路を、線で表したものを動線といいます。設計の際、移動距離が長くなりすぎないよう特に考慮するポイントです。
動線が短くなれば、移動距離や時間を短くすることができるため、仕事を効率化するだけでなく、入所者の方々との時間もつくることができます。

人の移動と物の配置

特別養護老人ホームでは、限られた人数のスタッフが、質の高い介護サービスを日々行っています。そのスタッフの動きに配慮した動線を計画し、部屋や物の配置を決めていくことがとても重要です。
たくさんの利用者の方々に関わりながら、同じような動作して何度行ったり来たりするような職場では、設計段階で考慮できたであろう無駄な動きを生み出す動線が、時間と労力の大きなロスになります。アットホームな小規模な施設ならまだしも、大規模な施設になってくるといかに効率的に働けるかは重要な課題です。

福祉現場という特殊な環境を考えた時、福祉住環境コーディネーターというプロの意見が反映されているかどうかは、より良い施設づくりにおいて重要です。プロの視点が加わった福祉施設であることは、入所者の方の暮らしやすさだけでなく、施設としての稼働率向上や安定した経営など、関わる人々全体にプラスに働きます。
これらの意見が活かされた特別養護老人ホームであれば、安全性も高く、スタッフも動きやすい高機能な施設として長く人々に愛されるでしょう。

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