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特定建築物として注意|特殊建築物との違いは

クリニックや福祉施設を建てる際、建築基準法以外に様々な法律が絡むのですが、特にポイントなるのが、該当する建物が『特定建築物』【特殊建築物】としてみなされるかどうかです。おそらく『特定建築物』という用語を調べられたりすると、一体何が何やらと頭を抱えられることでしょう。

『特定建築物』は、2016年の法改正により該当する建物の区分が明確化されています。【特殊建築物】との違い、なぜ『特定建築物』が複雑なのか分かりやすくお伝えしますので、ぜひご一読ください。

 

コラムのポイント
●【特殊建築物】とは、不特定多数の人が利用する建築物とみなされ、建築基準法第2条で定義されています。
●『特定建築物』とは、建築基準法のほか、いくつもの法令で使われる用語です。どの法令に該当するのか分かります。
●特に法改正により、「定期報告」を必要とする建築物においては、【特殊建築物】から『特定建築物』という言葉に統一されました。
●自治体によって、『特定建築物』に該当するものとしないものがありますので、各地域の条例の確認は不可欠です。

 

特殊建築物とは

建築基準法の中で、2条1項二号に規定される建築物であり、利用者の安全性を担保すること、周囲の環境に影響を与えるとみなされる建築物が該当します。

 

学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物
(建築基準法第2条、用語の定義より抜粋)

 

住宅・事務所以外の用途に属する建物のほとんどが該当すると判断でき、クリニックをはじめ福祉施設関係・多くの人が利用する可能性の高い施設が【特殊】建築物だと区別しやすいかと思います。

しかし、【特殊】建築物という言葉は2016年の法改正により、『特定』建築物という用語に変わっています。
2016年の法改正により、<定期報告>を必要とする建物において、【特殊】建築物から『特定』建築物という言葉に統一されました。

表記が統一されたため、【特殊】建築物に該当する建物がなくなったと考えやすいのですが、あくまで<定期報告>に該当する建物において、という条件がついた変更ですので、注意が必要です。
建築基準法第2条などでは、【特殊建築物】という言葉・概念は残っていますので、建築基準法の中で、言葉・概念がなくなったのではありません。

 

実例紹介

特定建築物とは

建築基準法6条1項一号の建築物および政令で定める建築物に該当し、多くの人が利用する建物として【特殊】建築物より幅が広いです。
また建築基準法以外でも、『特定建築物』という言葉が使用され、法律ごとに『特定建築物』の定義が異なります。

『特定』建築物という用語が使われる法律とは

まずはどんな法律で使用されているのかご紹介します。

■建築基準法
■建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称・建築物衛生法)
■高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)
■建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律 

建てようとする建築物が、複数の法令にまたがっているため、確認すべきことは多いです。

建築基準法「定期報告制度」

定期報告制度とは、所有する建物や設備など一定の期間ごとに安全かどうかを確かめ報告する義務のことです。
安全上、防火上、または衛生上特に重要である建築物と考えられる建築物が該当し、建築基準法第12条に定めれています。

つまり、定期報告を必要とする建築物=『特定』建築物なのです。

『特定』建築物に該当する建築物では、用途ごとに床面積や階(高さ)の基準が、細かく定められています。

 

<一例紹介>

建築物 条件 特記事項
病院、有床診療所 ・3階以上の階にあるもの
・2階の床面積が300㎡以上のもの
・地階にあるもの
2階の部分に患者の収容施設がある場合
就寝用福祉施設
(サービス付き高齢者住宅、有料老人ホームなど)

(引用:国土交通省/新たな定期報告制度の施行について)

 

なお、建築基準法上の用途区分では、有料老人ホーム、共同住宅、寄宿舎とで、分類が分かれる「サービス付き高齢者住宅」は、定期報告を必要とする建築物としてみなされます。

 

余談にはなりますが、「サービス付き高齢者住宅」での、用途区分の考え方をご紹介します。

<区分表>

有料老人ホーム 老人福祉法第29条第1項に規定する介護サービス・食事サービス・家事サービス
・健康管理サービスのうちいずれかを提供する施設
共同住宅 有料老人ホーム以外で、各住戸内に便所・洗面所・台所があるもの
寄宿舎 有料老人ホーム以外で、住戸内に台所のない(共同タイプの)もの。

 

国が定める『特定』建築物

建築物衛生法上で使われます。定期報告制度にも関わりがあります。

建築基準法上でみとめられる建築物のうち、興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校(研修所を含む。)、旅館として使用される建築物です。

また、その用途に使う部分の床面積の合計が3,000㎡以上あるものと定められています。(※小・中学校は8,000㎡以上)
引用:厚生労働省・建築物衛生法

 

特定行政庁が定める『特定』建築物

特定行政庁(=各都道府県が定める)が独自の基準で定めている『特定』建築物があります。

国が定める『特定』建築物としての条件(例:病院でかつ床面積200㎡以上)にプラスした基準が設けられていることが多いです。
どの建物が該当するかは、地域より異なりますので、各地域の行政担当に確認する必要があります。

例)東京都では、『特定』建築物として集合住宅やマンションが含まれます。

なお、特定行政庁とは建築主事が置かれている地方自治体のことで、すべての都道府県、政令で指定された人口25万人以上の市、その他建築主事を置いている市区町村が該当し、平成31年4月時点で451庁あります。

 

建築士に依頼するから知っておかなくても大丈夫と考えるのではなく、経営方針等にも関わりますので、自ら率先して把握するように努めましょう。

防火設備にも関わる『特定』建築物

『特定』建築物は、多くの人の安全を守るため、防火規制がかかり、耐火建築物か準耐火建築物にしなければなりません。

病院、診療所、 、 共同住宅、寄宿舎、 児童福祉施設等の部分を抜粋してご紹介します。

防火に関する建築物規制
3階以上の階があるもの 耐火建築物
床面積の合計300㎡以上 準耐火建築物または耐火建築物
3階建ててかつ、3階を寄宿舎・共同住宅の場合

また、主要構造部(柱や梁などの部分)と、外壁の開口部にも基準が設けられています。

 

『特定』建築物を建てる際の注意

これから建てようとする建物が『特定』建築物の場合、これまでにご紹介した法令に関わりますが、もう一つ、まちづくり条例も確認する必要があります。特に都市により該当する建物の規制が大きく変わるからです。

特に東京都内では『特定』建築物に該当させている建物が多くあります。医療施設・福祉施設はほぼ『特定』建築物に該当することが多いです。

また、『特定』建築物は、特定建築物使用(該当)届という届け出が必要で、使用又は利用する日から1ヶ月以内に提出しなければなりませんので忘れないようにしましょう。

 

医療施設や福祉施設を建てよう

医療施設や福祉施設は、ニーズが消えることはなく、むしろこれからどんどん高まっていくことが予想されます。

しかし体の不自由な方を中心に使用させる施設のため、利便性もさることながら、安全確保の点において十分に配慮しなければならず、そのために法律がいくつも定められています。

たった一つのクリニックであっても法令では「病院」・「有床診療所」・「無床診療所」と分類され、どれに該当するかで建築基準法などの遵守すべき法令が大きく変わります。

 

用途変更による設立はより複雑に

既存の建物を利用して医療施設や福祉施設を建設する際、規制緩和により手続き上、確認申請が不要になったなど、建築しやすい環境が整えられていますが、あくまで手続き上の話であり、防火基準など守らなくていいわけではありません。

既存の建物を利用したとしても、改修が必要で、新築よりも大掛かりな工事が必要の場合があり、コストアップの可能性があります。

実績のあるプロでないとスムーズに手続きや設計・建築が進みませんので、依頼する際は、必ずどのくらいの実績があるのか確認しましょう。


 

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